Kleine Blätter

Blätterはドイツ語で、Blatt(英語でleaf、つまり葉っぱ) の複数形ですが、言葉や、言葉を集めたものという意味にも使われます。

演奏会に関することや、作品についてなど、他愛もないことを折に触れて綴っています。

 

《ドイツリートの愉しみ シューマン×ハイネ       08,0ktober,2022

今年も4分の3を過ぎ、いつの間にか日脚の短さに驚かされる季節となりました。

この秋はテノール歌手の石川洋人さんからお誘いいただき、ドイツ・リートの愉しみ、と題してハインリヒ・ハイネの詩に作曲したシューマンの歌曲(リート)を集めた音楽会が、東京と静岡で開催されます。

 

恩師フリードリヒ・ヴィーク氏との裁判沙汰にも終止符が打たれ、その一人娘クララとの結婚がようやく許されたのは1840年、その年の内にシューマンは実に120曲以上の歌曲を書き上げました。

ハイネが従姉妹アマーリエに抱いた恋、失恋、追憶、と切なく激しい心の内を、時に辛辣な皮肉も交えながらドイツの美しい自然との対話や人々の営みをも巻き込んで吐露した詩の数々。時にピアノソロの曲よりも繊細で、クララとの愛を映し込んだかのように書かれたシューマンの美しい音楽は、消え入りそうにはかない旋律(歌声)も自らを奮い立たせるように誇り高いハーモニー(ピアノ)も、情景や心情が見えるように自然に、心の奥底深く訴えてきます。

 

いまだコロナ禍から抜け出せない毎日ですが、石川さんの美しい歌声とのコラボレーションを通して、少しでも心を潤していただけるよう、リハーサルを重ねています。ぜひお出かけください。

《リサイタルDer Weg...道vol.3 》15.Oktober,2021

秋深まりゆく今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今年は金木犀の香りに2度包まれるという思いがけない秋の贈り物がありました。自然界から思いも寄らない「生きる厳しさ」を突きつけられたパンデミック、現代に生活する人間の力にも限りがあることを思い知らされる日々ですが、その自然界から私たちは、生きるための計り知れないほど多くの恵みもいただいていることを思い起こすとき、改めて作曲家の遺した作品の根底に脈打つ「尊い生命への畏敬」に気づかされます。

 

昨年秋より日延べしていましたリサイタル Der Weg...道 vol.3を11月に浜松と東京で行います。大切な人への深い思慕・・私が最も心を注いでいるドイツ作品の中からベートーヴェンとシューマンのソナタを演奏いたします。

 

 シリーズDer Weg...道の誕生秘話?については、以下クラシックニュースでご覧ください。